過剰な【酸素投与】で命が奪われる!?吸収性無気肺について解説

肺が絶望的になる治療

皆さんはこの

レントゲン画像を見てどう思いますか?

肺に空気が入らず

真っ白になってしまっています。

このような状況は

正直、絶望的であり

命の危険がある状態と言えます。

しかし

実はこれは

病気の進行による結果ではなく

ある治療の結果による状態なのです。

その治療とは何なのでしょうか?

それは酸素療法になります。

酸素療法

肺の疾患を抱える方にとっては

息苦しさを

和らげる効果があるのですが

使い方を間違えてしまうと

肺がこのように絶望的な

状態になってしまう場合があるのです。

そこで今回は

酸素療法により引き起こされる

吸収性無気肺について解説します(^^)/

吸収性無気肺って?

肺では

末端部の肺胞(はいほう)

という部分で血管と接していて

肺で吸った酸素を

血管に取り込む

という作業を1回呼吸ごとに行っています。

酸素が肺胞から

血管へ移動することを

拡散能と言いますが

これは酸素自体が

血管内へ吸収されるという

一つの特性があるので

成立していることになります。

酸素が血管内へ

吸収され過ぎてしまい

肺内の気体が極端に

減少してしまうことで

肺が潰れてしまう

状態のことを吸収性無気肺といいます。

でも、呼吸する度に

酸素が血管へ吸収されるなら

深呼吸を沢山するだけでも

吸収性無気肺

引き起こしてしまうんじゃないの?

そういった疑問が浮かぶと思います。

その答えは

普段私たちが吸っている

空気(大気)中の

酸素濃度を知ることで解決します。

では皆さんは

空気(大気)中の

酸素濃度は何%かご存じですか?

空気(大気)中の酸素濃度は何%?

空気中(大気)の

酸素濃度は21%になります。

知らなかった方の

感想として多いのが

『意外と少ない!!』です。

空気中に含まれる

酸素以外の大半は窒素(78%)なのです。

そして窒素は

血管に吸収される特性がないので

肺胞内にとどまってくれることで

肺胞が

潰れないようにしてくれているのです。

このように酸素と窒素の割合が

一定に保たれていることで

私たちは空気を思いっきり吸っても

酸素が血管に取り込まれ過ぎることで

生じる吸収性無気肺にはならないのです。

しかし

この血管に吸収される

特性がある

酸素濃度を増やす治療が

酸素療法なので

吸収性無気肺を生じる

というリスクがあるのです。

では酸素濃度が

何%以上になると

吸収性無気肺を生じるのでしょうか?

吸収性無気肺を生じる酸素濃度は何%?

吸収性無気肺を生じる

可能性がある酸素濃度は60%以上になります。

酸素濃度が60%以上になると

窒素濃度も低下してしまうので

肺胞内の気体が

血管に吸収されてしまう

割合が増えて

吸収性無気肺を生じるリスクが高まるのです。

では主に医療現場で

酸素濃度が60%以上となるのは

どのような状況が考えられるのでしょうか?

酸素濃度が高くなる酸素吸入器

医療現場でよく使われる

酸素吸入器は主に

☑鼻カニューレ

☑酸素マスク

☑リザーバー・バック付きマスク

の3種類がありますが

肺の疾患などで

酸素の取り込みの効率を上げるため

この酸素濃度を高める際には

酸素流量計のノズルを回して

酸素流量を

上げたり下げたりして酸素濃度を調整します。

 

この酸素流量に比例して

酸素濃度も高まりますが

先程の酸素吸入器によっても

送れる酸素流量が決まってきます。

 

つまり

写真のように

酸素マスクで最大流量(7~8L)

送気した際は酸素濃度は60%以上となり

なんと

リザーバー・バック付きマスクの場合は

最大流量(10L)まで送気でき

その際の

酸素濃度は90%以上になるので

呼吸状態が悪いからと言って

安易に酸素濃度を上げてしまうと

吸収性無気肺を生じて

さらに呼吸状態が

悪化してしまう可能性があるのです。

 

このように

酸素濃度を上げる際は

かなり慎重に行い長時間高濃度の

酸素濃度が必要な場合は

人工呼吸器等の

使用も考慮に入れる必要があります。

 

この酸素療法による吸収性無気肺について

Q.吸収性無気肺の(聴診の)呼吸音は?

Q.吸収性無気肺の患者さんを救う方法は?

Q.吸収性無気肺にならない酸素療法テクニックは?

この辺りは

以下の動画で解説していますので

ご興味ある方は

参考にして頂ければと思います(^^)/

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