不自然な笑顔~大切な人へ最期にかけた言葉~

不自然な笑顔

ある女性の患者(利用者)さんの
旦那さん(おじいちゃん)
とお孫さんのお話になります♪

ある日の訪問の際に
お孫さんから伺ったお話なのですが
お孫さんはおじいちゃん子で
何をするにもおじいちゃんと
行動を共にしていたそうです。

●買い物の時
●食事の時
●旅行の時
●花火の時
●祭りの時

とにかく沢山の思い出があり
全て鮮明に覚えているそうです。

そして
お孫さんは社会人になり
おじいちゃんとは
お酒を飲む仲になったそうです🍶

そこでも昔の思い出を
笑いながら語りあったそうです。

そして
ある日突然、おじいちゃんが
入院することになりました。
その時は重度の貧血だったそうです。

お孫さんはすぐにお見舞いに
駆けつけようとしたそうですが
"面会拒否"
奥様(おばあちゃん)
以外誰とも会おうとしなかったそうです。

お孫さんは
おばあちゃんに
『なんで僕と会おうとしないの?
僕のこと嫌いになっちゃったの?
どうして、どうして…。』
そう必死に訴えたそうですが
おじいちゃんは頑なに
会うことを拒否したそうです。

それから数ヶ月経って
おばあちゃんから
『おじいちゃんは
緩和ケア病棟へ移ったのよ。』
そういう知らせをもらいました。

おじいちゃんは
末期ガンだったのです。

前立腺ガンが
全身に広がり
骨にまで転移したことで
激痛に苦しんでいたようでした。

お孫さんは
意を決して病院へ強行し
なんとかおじいちゃんと
面会することができたようです。

そこでは
やせ細り青白くなり
変わり果てた姿のおじいちゃんが
ベットに寝ていました。

お孫さんは一言
『おじいちゃん、生きててよかった。』
そう伝えたそうです。

すると
おじいちゃんが
『ごめんな、ごめんな…
本当はすごく会いたかったんだよ。
でもな、おじいちゃんはもう助からない
病気になっちゃったみたいだから…。
ごめんな、ごめん…
もう諦めてだんだよ
だから会おうとしなかったんだ。

だってな、せっかく
生きることを諦めたのに
君に会ったら
"もっと生きていたい"って思っちゃうだろ
おじいちゃんだって
ただ1人の人間だから死ぬのが怖いんだ。
ごめんな、ごめんな…。』
震えた弱々しい声で
精一杯の言葉

"もっと生きていたい"

お孫さんは
強く拳を握りしめ
歯を食いしばり
必死に涙をこらえたそうです。

なぜならば
ここで涙を流してしまえば
おじいちゃんが
このまま命を終えることを
認めることになってしまうから。

だから、だから…
必死にこらえて
とても"不自然な笑顔"で
『おじいちゃん、
僕がここにいるから大丈夫。
怖がらなくっていいよ。
大丈夫だよ。大丈夫…』
そう伝え少し乾燥し冷えた
おじいちゃんの手を優しく握りました。

そして
お孫さんとおじいちゃんが
過ごせた時間は思いのほか短く
それから3日ほどで
おじいちゃんはこの世を去りました。

でも
この2人にとっての
最後の3日間は
時が止まったと思うほどの
温かく優しい時間になったことでしょう。

誰しもが終わりに向かう人生

皆さんは
残された"命の時間"を
どんなことに使いますか^ – ^

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