同情と愛情の3年半~幽霊を見たことあるかい?~

同情と愛情の3年半

お一人暮らしの
90代男性の患者(利用者)さんの
お話になります♪

その日訪問に伺うと
『幽霊を見たことあるかい?』
と、突然のご質問に
少々ビクッとしつつ
「今のところないです😱」
とお伝えすると
『僕は見たことあるんだよね!
一度だけね🤫』
と、仰られたので
恐る恐る
「どんな幽霊だったんですか?」
とお聞きすると
『妻が枕元に立っていたんだよ。
すぐに消えちゃったけどね。』
と、仰られました。

ん?
何かがおかしい…

確かこの患者さんに
奥様はいないはず…。

奥様の写真も無ければ
カルテの情報にもなかったはず…。

いろんな想像が頭をぐるぐる回り
少し混乱していると
『僕には昔妻がいたんだよ!
たったの3年半だけ
一緒に過ごしたんだけどね…。』
と仰られたので
「何かあったのですか?」
とお聞きすると
『そうだね、いろいろあったね😓』
と、少し悲しい表情をされ
続けて
『人に自慢できるくらい
美人な妻だったんだよ!
はじめは百貨店で受付をしていて
一目惚れをして声をかけたんだ。
そして
すぐに結婚の話になったんだよ。
だけどね、彼女には一度断られたんだ。
その理由はただ一つ

彼女は"結核"にかかっていたんだよ。

当時、"結核"は治る病じゃなかったんだ。
それを気にして
彼女は結婚を拒んだんだ。

だけどね、僕はそれでも結婚を決意した。
どうしても彼女と一緒にいたかったんだ。
それを彼女に伝えたら
"同情でそう言って下さるのは嬉しく思います。ですが、私以外のあなたに相応しい人へ、長く寄り添える人へあなたは愛情を注ぐべきです。"
震えた声で彼女はそう言ったんだ。

僕はただ一言

"君と過ごしたい"

そう伝えて彼女と結婚したんだ。

そこから3年半彼女の闘病生活に
寄り添い
彼女は息を引き取ったんだよ。

亡くなってしばらくして
突然彼女がはっきりと
目に見える形で
枕元に立っていたんだ。

"あなたは優しい人ね"

彼女がよくそう言って笑ってたね。

そういう"笑顔"で立っていたんだ。

それが人生でただ一度だけ
僕が見た"幽霊"だった…。』
と、お話を終えられると
お部屋の中が
何か温かい空気に包まれていました。

「きっと、奥様は
本当に幸せだったのでしょう。
だって"幽霊"になられても
"笑顔"だったのですから…。」
そうお伝えすると
患者さんは
枕元をしばらく静かに
見つめてらっしゃいました。

"同情と愛情"

"同情"が強すぎれば
相手が申し訳ないと感じつらくなる
"愛情"が強すぎれば
相手が重く感じつらくなる

でもこの幸せなご夫婦のように
どちらとも入り混じった関係であれば
例え"どんなこと"があったとしても
幸せを感じられるのかもしれませんね^ – ^

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