【循環器の知識12】大動脈解離で命を落とす理由~恐ろしき心タンポナーデとは!?~

大動脈解離で命を落とす理由

昨日の投稿の
続きになりますが

両腕で測る収縮期血圧の左右差が
(収縮期血圧:血圧の上の値)
20mmHg以上あった人の中で
命に関わる病気の
"大動脈解離"である可能性は
約20%(5人に1人)ということになります。

ではなぜ
この"大動脈解離"は
命に関わる病気なのでしょうか?

それは
この"大動脈解離"による
血管の裂け目が
心臓から出たすぐのところにある
上行大動脈に到達(存在)した場合に
その裂け目が心臓の外の膜である
心外膜にまで到達し
心臓を囲むように
血液が溜まり心臓を外から
圧迫するようになります。

このように心臓が
外から圧迫されることで
心臓の機能を著しく低下させ
その機能を果たせず
命を落としてしまうのです。
これを"心タンポナーデ"と言います。

通常は"心タンポナーデ"になると
心外膜の内側に
溜まった血液or心嚢(しんのう)液
を抜くために心臓に直接針を刺して
それらを抜き取る処置が施されます。

この方法を心嚢穿刺法と言いますが
それによって時々引き起こされる合併症が
"収縮性心膜炎"と言って
心外膜が石のように硬くなり
広がりにくくなることで
しっかり血液が溜められなくなり
その分血液を
全身に送りにくくなってしまう
という心不全症状を引き起こします。

このように
"心タンポナーデ"は
●発症すると死亡リスクが高い
●その治療自体もリスクが高い
と言ったとても恐ろしい
状態というわけです。

動画内ではここまでの説明ですが
実は"大動脈解離"から
"心タンポナーデ"になるような
危機的状態では
通常、胸を開く緊急手術が施行されます。

その際、大動脈の一部を人工血管に変える
手術に加えて
心嚢に血液or心嚢液を排出させるための
チューブを挿入したまま胸を閉じます。
そして
そのチューブからしばらく
血液or心嚢液を排出することで
"心タンポナーデ”の
治療も同時に行われるのです。

ここまでの説明で
"大動脈解離"の恐ろしさは
よく分かって頂いたと思いますが
実は"大動脈解離"は
予防が可能な病気なのです。

明日の投稿では
その予防法についての
解説したいと思います(^^)

お楽しみに♪

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